← 戻る

📖 財務・会計

出題傾向(R3〜R7)

出題あり 出題なし R3 R4 R5 R6 R7
B1. 簿記の基礎・仕訳 12問

簿記の基礎・仕訳の要点

簿記の基本的な役割は、企業の経営活動を金銭的に記録・計算・報告することです。中小企業診断士試験では、実務的な仕訳処理と簿記の原理を正確に理解することが求められます。

簿記の五要素と仕訳の基本原理

簿記の五要素は資産・負債・純資産・収益・費用です。すべての取引は以下の仕訳の基本ルールに従います:

  • 借方(左側)と貸方(右側)の金額は必ず等しい(複式簿記の原則)
  • 資産の増加・費用の発生=借方、資産の減少・収益の発生=貸方
  • 負債・純資産の増加=貸方、負債・純資産の減少=借方

主要な勘定科目と仕訳処理

現金・預金の処理:現金出納帳と銀行勘定調査表の理解が重要

  • 売上代金の回収、経費の支払い、貸付金の返済など日常的に発生
  • 銀行振込手数料は手数料として費用処理

売上と売掛金:売上認識のタイミングが試験頻出

  • 商品販売時点で売上計上(掛売上の場合は売掛金で記録)
  • 売上返品・値引きは売上高から控除
  • 消費税を含める場合と区分する場合の処理が問われる

仕入と買掛金:売上と対称的な処理

  • 商品受取時に仕入計上(掛仕入の場合は買掛金で記録)
  • 仕入返品・値引きは仕入高から控除

固定資産と減価償却:長期的価値を持つ資産の処理

  • 土地は非償却資産、建物・機械・車両等は償却資産
  • 減価償却費は期間費用として計上
  • 建物付属設備と区分所有の判定が出題される

貸付金と借入金:利息計算を含む

  • 貸付時は資産の増加、借入時は負債の増加
  • 利息の計上は日数計算による日割計算が基本

給与と労務費:控除項目の正確な把握

  • 給与支払時に所得税・社会保険料を控除
  • 給与引当金の計上タイミング

試験における仕訳の出題パターン

令和3~7年度の出題実績から、以下の処理が頻繁に出題されます:

  • 月末の未払費用・前払費用の認識
  • 売掛金・買掛金の決済と現金化
  • 消費税の処理(税抜経理と税込経理の両方)
  • 有形固定資産の購入・売却・減価償却
  • 決算整理仕訳(貸倒引当金、在庫評価等)

頻出ポイント

  • 複式簿記の基本原則:借方と貸方の対応を常に意識し、五要素の変動パターンを確実に記憶
  • 仕訳のタイミング:発生主義に基づき、現金の出入りではなく取引発生時点で計上
  • 消費税処理の選択:税抜経理と税込経理のどちらが適用されているかの判定
  • 決算整理仕訳:未払費用・前払費用・貸倒引当金など、月末月初に必ず処理する項目
  • 勘定科目の正確な選択:類似した科目(預金・現金、借入金・貸付金等)の使い分け
関連過去問(12問)
令和3年度 第1問 得意先への商品販売時に、10日以内に代金を支払えば2%の支払いを免除する という条件をつけた。その売掛金200,000円...
令和3年度 第2問 本支店会計において本店集中計算制度を採用している場合、A支店がB支店の買 掛金200,000円について小切手を振り出して...
令和3年度 第3問 備品(取得日:2018年4月1日、取得原価:800,000円、償却方法:定率法(償却 率年25%)、記帳方法:間接法、決...
令和3年度 第11問 建築物の設計・監理を請け負っている当社では、顧客から依頼のあった案件につ いて建物の設計を行っている途中で、給料100,...
令和4年度 第8問 従業員の給料・賞与支払時に「預り金」として処理するものとして、最も不適切な ものはどれか。
令和4年度 第11問 当期はX5年4月1日からX6年3月31日の1年間である。決算整理前の機械勘 定の残高は216,000円であるが、当期より...
令和5年度 第1問 7月における商品Aの取引は以下のとおりである。7月の売上原価として、最も 適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、払出...
令和5年度 第2問 以下の一連の取引の仕訳として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 8/12 当社は、得意先との間で、25,000円の...
令和5年度 第3問 当社は、X1年度期首に機械(取得原価300,000円、耐用年数 5 年)を購入し、 200%定率法により減価償却を行って...
令和6年度 第5問 従業員の給与の発生に関連して、法定福利費として計上するものとして、最も適 切なものはどれか。
令和7年度 第1問 以下の資料に基づき、貸倒引当金に関する当期の決算整理で計上される貸倒引当 金繰入のうち、損益計算書における販売費及び一般...
令和7年度 第7問 以下の投資有価証券に関する資料に基づき、当期の投資有価証券売却益として、 最も適切なものを下記の解答群から選べ。 【資料...
B2. 財務諸表 17問

財務諸表の基本構造

財務諸表は企業の経営成績と財務状態を把握するための重要な資料です。貸借対照表(BS)損益計算書(PL)キャッシュフロー計算書(CF)の3つで構成されます。B科目では、これらの読み方・分析方法・改善策が頻繁に出題されます。

貸借対照表(BS)

  • 資産 = 負債 + 純資産の基本式を理解する
  • 流動資産(1年以内に現金化)と固定資産(1年を超える)の区分
  • 流動負債(1年以内に支払)と固定負債(1年を超える)の区分
  • 純資産 = 資本金 + 利益剰余金 − 自己株式
  • 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本が経営効率を示す

損益計算書(PL)

  • 売上高 − 売上原価 = 売上総利益(粗利益)
  • 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 = 営業利益
  • 営業利益 ± 営業外損益 = 経常利益
  • 経常利益 ± 特別損益 = 税引前当期純利益
  • 税引前当期純利益 − 法人税等 = 当期純利益
  • 各利益段階の利益率(売上に対する割合)が企業の実力を表す

キャッシュフロー計算書

  • 営業活動CF:本業の現金創出能力
  • 投資活動CF:設備投資や資金運用
  • 財務活動CF:借入金返済や配当金支払
  • 赤字でも営業CFがプラスなら経営は持続可能

重要な経営分析指標

  • 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債(100%以上が目安)
  • 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産(50%以上が優良)
  • ROA(総資産利益率)= 当期純利益 ÷ 総資産
  • ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 純資産
  • 売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高
  • 棚卸資産回転率売上債権回転率による効率性分析

財務改善の実務的視点

試験では、財務諸表の数値から問題を特定し、改善策を提案する能力が問われます。

  • 売上原価率が高い → 仕入先の見直し、生産効率化
  • 販売費・一般管理費が高い → 経費削減、人員最適化
  • 流動比率が低い → 資金繰り悪化のリスク
  • 自己資本比率が低い → 借入金依存、金利負担増加
  • 営業CFがマイナス → キャッシュ枯渇の危険信号

頻出ポイント

  • 複数年度の比較分析:前年度との増減率や傾向分析が必出
  • 各利益段階の理解:売上総利益→営業利益→経常利益の違いを明確に
  • 流動性と安全性の評価:流動比率、自己資本比率から経営課題を読み取る
  • CF分析による実質的判断:利益が出ていても資金繰りが危機的なケース対応
  • 改善提案の実行可能性:数値根拠を示しながら、具体的かつ現実的な対策を述べる
関連過去問(17問)
令和3年度 第4問 のれんに関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和3年度 第5問 負債性引当金は、債務である引当金(債務性引当金)と債務ではない引当金(非債 務性引当金)に分類される。非債務性引当金とし...
令和3年度 第6問 収益に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第1問 以下の資料に基づき、決算日の調整後の当座預金勘定残高として、最も適切なも のを下記の解答群から選べ。 【資 料】 当店の...
令和4年度 第2問 A、B、Cの各商店は、いずれも資産2,000万円、負債500万円を有する小売業 であるが、あるとき各商店ともそれぞれ80...
令和4年度 第5問 貸借対照表における無形固定資産に関する記述として、最も適切なものはどれ か。
令和4年度 第9問 退職給付会計に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
令和4年度 第10問 自己株式の会計処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第4問 連結会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第5問 会社法における計算書類の作成、開示に関する記述として、最も適切なものはど れか。
令和5年度 第8問 貸借対照表の表示に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第2問 金銭債権・金銭債務や経過勘定項目に関する記述として、最も適切なものはどれ か。
令和6年度 第6問 貸借対照表の表示に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第5問 固定資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第6問 繰延資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第8問 損益計算書項目のうち、営業損益計算の区分に含まれるものとして、最も適切な ものはどれか。
令和7年度 第10問 連結財務諸表に関する記述として、最も適切なものはどれか。
B3. 原価計算 11問

原価計算の基礎概念

原価計算とは、製品製造に要した費用を計算し、経営意思決定や財務報告に活用するシステムです。中小企業診断士試験では、実務的な計算と概念理解が問われます。

原価は以下の3要素で構成されます:

  • 材料費:直接材料費と間接材料費
  • 労務費:直接労務費と間接労務費
  • 経費:直接経費と間接経費

原価分類

原価は複数の視点で分類され、経営判断に異なる情報を提供します。

  • 直接費:特定の製品に直接配分できる費用
  • 間接費:複数製品に共通する費用(配分基準が必要)
  • 変動費:生産量に比例して変動する費用
  • 固定費:生産量に関係なく発生する費用
  • 製造原価:製造部門で発生する全費用
  • 販売管理費:販売・管理部門で発生する費用(原価には含まない)

原価計算方法

1. 標準原価計算

  • あらかじめ設定した標準原価と実績原価を比較
  • 差異分析により原因を特定し改善に活用
  • 材料費差異、労務費差異、経費差異に分類

2. 実際原価計算

  • 実際に発生した費用に基づいて計算
  • 財務報告に用いられることが多い

3. 吸収原価計算と変動原価計算

  • 吸収原価計算:固定費を製品に配分(財務報告で使用)
  • 変動原価計算:変動費のみを製品原価として計算(経営意思決定に有用)

間接費の配分

間接費を製品に配分するため、配分基準を設定します。一般的な基準:

  • 直接労務費に基づく配分
  • 直接材料費に基づく配分
  • 機械運転時間に基づく配分
  • 部門別の段階配分法

損益分岐点分析

損益分岐点は売上高と総原価が等しくなる販売数量です。

  • 損益分岐点売上高=固定費÷貢献利益率
  • 貢献利益=売上高−変動費
  • 経営意思決定の基礎情報として重要

頻出ポイント

  • 直接費と間接費の識別:製品に直接配分可能かどうかの判断が基本
  • 変動費と固定費の分離:損益分岐点分析や短期経営判断に必須
  • 配分基準の選択:合理的な根拠に基づいた設定が求められる
  • 標準原価と実績原価の差異:原因分析と改善提案へ結びつける
  • 吸収原価と変動原価の使い分け:目的に応じた適切な選択
関連過去問(11問)
令和3年度 第7問 以下の資料は、工場の2020年8月分のデータである。このとき、製造指図書#11 の製造原価として、最も適切なものを下記の...
令和4年度 第6問 原価計算における非原価項目として、最も適切なものはどれか。ただし、すべて 正常なものであるとする。
令和4年度 第12問 設問1 当工場では、単一製品Xを製造・販売している。以下の資料に基づいて、下記の 設問に答えよ。 【資 料】 当期における実績値...
令和4年度 第12問 設問2 当工場では、単一製品Xを製造・販売している。以下の資料に基づいて、下記の 設問に答えよ。 【資 料】 当期における実績値...
令和5年度 第10問 当工場の以下の資料に基づき、平均法による月末仕掛品原価として、最も適切な ものを下記の解答群から選べ。なお、材料は工程の...
令和5年度 第16問 次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。 100万円のコストで製造した...
令和6年度 第10問 以下の資料に基づき、原価に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群 から選べ。 【資料】 7月に生じた 8月に生じ...
令和6年度 第12問 設問1 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 当社は、当期の実績に基づいて次期の利益計画を策定している。当期の実績デー タは以...
令和6年度 第12問 設問2 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 当社は、当期の実績に基づいて次期の利益計画を策定している。当期の実績デー タは以...
令和7年度 第11問 以下の材料に関する資料に基づき、当月の原価差異として、最も適切なものを下 記の解答群から選べ。なお、日付は省略している。...
令和7年度 第12問 以下の資料に基づき、平均法による完成品原価として、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。なお、計算の結果が割り切れない...
B4. 経営分析 10問

経営分析の全体像

経営分析は、企業の財務諸表や非財務情報を用いて、経営状態と経営成績を評価し、経営課題を発見するプロセスです。中小企業診断では、限られた情報から実行可能な改善提案を導き出す能力が求められます。

主要な分析手法

1. 比率分析

  • 収益性分析:ROA(総資産利益率)、ROE(自己資本利益率)、売上高利益率
  • 安全性分析:流動比率(200%が目安)、当座比率(100%が目安)、自己資本比率(30~40%が目安)
  • 効率性分析:総資産回転率、棚卸資産回転率、売上債権回転期間
  • 成長性分析:売上高成長率、利益成長率、自己資本成長率

2. 構造分析

  • 共通因数分析:各勘定科目を売上高(または総資産)で除して、構成比の変化を時系列で追跡
  • DuPont分析:ROEを「利益率×資産回転率×財務レバレッジ」に分解し、改善要因を特定

3. 推移分析

  • 複数年度のデータを比較し、トレンドと変動パターンを把握
  • 基準年度を100として指数化し、変化率を明確化

キャッシュフロー分析

利益だけでなく、営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローの3つの活動区分で資金の流れを分析。特に中小企業では黒字倒産を防ぐため、キャッシュフロー改善が重要です。

診断における着眼点

  • 業界平均値や競合企業との比較を含める
  • 過去3年以上の推移から、好転・悪化の傾向を判定
  • 定性情報(経営環境、経営方針)と定量分析の統合
  • 数値の矛盾や異常値の根拠を確認(例:利益増加なのに現金減少)
  • 中小企業特有の課題(融資依存度、同族経営による情報開示不十分など)を考慮

頻出ポイント

  • 5つの主要比率(流動比率、自己資本比率、総資産利益率、売上高利益率、資産回転率)の意味と目安値を正確に理解
  • DuPont分析で ROE = 利益率 × 資産回転率 × 財務レバレッジに分解し、複数要因の相互作用を読み取る
  • 共通因数分析で構成比の変化から経営課題(過剰在庫、売上債権増加など)を抽出
  • キャッシュフロー計算書で営業CF・投資CF・財務CFの3区分を分析し、資金繰り危機を早期発見
  • 業界平均との乖離や複数年の悪化トレンドから、改善施策の優先順位を判定
関連過去問(10問)
令和3年度 第8問 ある製品の販売予算が以下のとおり編成されており、第3四半期(Q3)の実際販 売量が1,600個、実際販売価格が98,00...
令和3年度 第10問 設問1 以下の貸借対照表と損益計算書について、下記の設問に答えよ。 貸借対照表(2020年度末) (単位:千円) 資産の部 負債...
令和3年度 第10問 設問2 以下の貸借対照表と損益計算書について、下記の設問に答えよ。 貸借対照表(2020年度末) (単位:千円) 資産の部 負債...
令和3年度 第12問 損益分岐点分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第17問 以下の資料に基づき計算したサステナブル成長率(内部留保のみを事業に投資し た場合の純資産の成長率)として、最も適切なもの...
令和5年度 第11問 余剰現金の使途として、新規の設備の購入(D案)と長期借入金の返済(E案)を比 較検討している。他の条件を一定とすると、D...
令和5年度 第12問 設問1 当社とその競合会社であるF社に関する以下の資料に基づき、下記の設問に答え よ。ただし、金額の単位は万円とする。 【資料】...
令和5年度 第12問 設問2 当社とその競合会社であるF社に関する以下の資料に基づき、下記の設問に答え よ。ただし、金額の単位は万円とする。 【資料】...
令和6年度 第11問 当期末に、新たに長期借入(借入後60カ月にわたって元利均等弁済)を行い、そ の資金全額で無形固定資産を購入したとする。他...
令和7年度 第13問 営業レバレッジ(オペレーティング・レバレッジ)に関する記述として、最も適切 なものはどれか。
B5. 利益・配当政策 7問

利益・配当政策の概要

企業の利益は内部留保配当に配分される。この配分方針は企業価値を左右する重要な経営判断であり、資本政策の中核をなします。利益政策では利益の最大化と安定性、配当政策では株主還元と経営の自由度のバランスを求めます。

利益政策の要点

  • 営業利益:営業活動から生じる利益(財務活動の影響を除外)
  • 経常利益:営業利益に営業外収支を加えたもの
  • 当期純利益:最終的な利益(税金控除後)
  • 利益操作を避け、継続的かつ安定的な利益創出が重要
  • ROE(自己資本利益率)当期純利益÷自己資本で、経営効率を示す重要指標

配当政策の主要指標

  • 配当性向=配当金÷当期純利益(目安:30~40%が多い)
  • 配当金総額=1株当たり配当×発行済み株式数
  • 配当利回り=1株当たり配当÷株価(投資家の収益性を示す)
  • 配当性向が高いほど内部留保が減少し、成長投資の資金が限定される

配当政策の類型

配当フロア型:最低配当額を保障し、利益上下動に一定の配当を維持。安定配当を求める株主向け。

配当性向固定型:利益の一定割合を配当。利益変動に応じた柔軟な配当。

残余配当政策:成長投資に必要な資金を優先し、残りを配当。成長企業向け。

資本配分と経営判断

  • 自社株買い:配当の代替手段。EPS(1株当たり利益)向上に有効だが、投資家層により評価が異なる
  • 内部留保:設備投資、R&D、債務返済に充当。企業の成長基盤
  • 配当性向と成長性のバランスが経営戦略の要
  • 業界特性(成熟産業vs.成長産業)により配当政策が異なる

規制と制約条件

  • 配当可能利益は当期純利益+前期繰越利益金-当期未処理損失
  • 配当実施には取締役会決議または株主総会決議が必要
  • 制限的配当:過度な配当は企業の財務基盤を脆弱化させる

頻出ポイント

  • 配当性向の計算と解釈:利益額、配当額から性向を算出し、企業の配当姿勢を判断する問題
  • 配当政策と企業価値:成長段階別にどの政策が適切か、投資家ニーズとの整合性を問う
  • ROE と配当の関係:内部留保による成長投資がROE向上につながるか、配当とのトレードオフを理解する
  • 自社株買いと配当の比較:税務面、EPS への影響、投資家心理の違い
  • 配当政策の種類と企業特性のマッチング:成熟企業は高配当、成長企業は低配当という対比
関連過去問(7問)
令和3年度 第16問 株主還元に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第23問 配当政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、他の条件は一 定とする。
令和5年度 第7問 剰余金の配当と処分に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第14問 Z社の期首自己資本は3,000万円である。また、ROEは 5 %、配当性向は 40%、発行済株式数は20万株である。Z社...
令和5年度 第21問 サステナブル成長率に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、 ROEおよび配当性向は毎期一定とする。
令和6年度 第15問 毎期一定額の配当を支払う場合と比べた、業績連動型の配当政策に関する記述と して、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第21問 C社の当期首の自己資本は3,000万円である。また、負債による資金調達を行っ ておらず、今後、外部からの資金調達を行わな...
B6. キャッシュフロー計算 9問

キャッシュフロー計算書の基本構造

キャッシュフロー計算書は、企業の現金の流れを把握する財務諸表です。以下の3つの活動に区分されます。

  • 営業活動によるキャッシュフロー:本業から生じた現金の増減
  • 投資活動によるキャッシュフロー:設備投資や投資有価証券などの現金の増減
  • 財務活動によるキャッシュフロー:借入金や配当金などの現金の増減

営業活動によるキャッシュフロー(間接法)

試験では間接法での計算が頻出です。以下の流れで計算します。

  • 税引後当期純利益(または営業利益)から開始
  • 非現金費用を加算:減価償却費無形資産償却費損失計上
  • 非現金収益を減算:利益計上受取利息
  • 運転資本の変動を調整:
    • 売上債権の増加→減算、減少→加算
    • 在庫の増加→減算、減少→加算
    • 買掛金の増加→加算、減少→減算

投資活動によるキャッシュフロー

  • 固定資産の購入:マイナス表示
  • 固定資産の売却:プラス表示
  • 投資有価証券の購入・売却
  • 通常はマイナスとなる活動(現金流出が多い)

財務活動によるキャッシュフロー

  • 借入金の増加:プラス表示
  • 借入金の返済:マイナス表示
  • 株式発行:プラス表示
  • 配当金支払い:マイナス表示

キャッシュフロー分析の実務的評価

試験では単なる計算だけでなく、経営状況の診断が求められます。

  • 営業CF>0、投資CF<0、財務CF<0:理想的な企業(利益で投資と配当をまかなう)
  • 営業CFが負:経営危機の可能性
  • 営業CFと利益の乖離:利益の質が低い、または運転資本管理に問題あり
  • フリーキャッシュフロー(営業CF−投資CF)での評価

頻出ポイント

  • 減価償却費は現金支出でないため、営業利益に戻す必要がある
  • 運転資本変動の符号:資産増加は減算、負債増加は加算が原則
  • 利益(PL)とキャッシュフロー(CF)の違いを理解し、どちらが企業の実態を示すか判断できるか
  • 計算問題だけでなく、財務状況の診断・改善提案まで出題される可能性が高い
  • 複数年度の比較分析により、企業の成長段階や経営課題を読み取る力が問われる
関連過去問(9問)
令和3年度 第9問 キャッシュフローが増加する原因として、最も適切なものはどれか。
令和3年度 第13問 9月中に予定される取引に関する以下の資料に基づき、最低限必要な借入額とし て、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお...
令和4年度 第13問 設問1 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 A社では、X1年4月末に以下のような資金繰り表(一部抜粋)を作成した(表中の カ...
令和4年度 第13問 設問2 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 A社では、X1年4月末に以下のような資金繰り表(一部抜粋)を作成した(表中の カ...
令和5年度 第9問 キャッシュ・フロー計算書に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第13問 運転資金管理のための財務指標であるキャッシュ・コンバージョン・サイクルに 関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第7問 以下の資料に基づき、営業活動によるキャッシュ・フローの計算として、最も適 切なものを下記の解答群から選べ。 【資料】 ⑴...
令和6年度 第22問 D社の第11期期首において、第11期から第13期までのフリー・キャッシュフ ローは毎期末200百万円の定額であり、それ以...
令和7年度 第21問 当期純利益からフリー・キャッシュフローを計算する場合の記述として、最も適 切なものはどれか。なお、税金は存在しないものと...
B7. 投資の経済性計算 12問

投資の経済性計算 - 要点まとめ

投資の経済性計算は、複数の投資案件から最適なものを選択するために、数値的根拠に基づいて判断する手法です。中小企業診断士試験では、各手法の計算原理と使い分けが頻出です。

主要な4つの評価手法

  • 正味現在価値(NPV: Net Present Value)
    • 将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて合計し、初期投資を控除
    • NPV > 0:投資採択、NPV > 0の案から最大のものを選択
    • 割引率(必要収益率)の設定が重要
  • 内部収益率(IRR: Internal Rate of Return)
    • NPVがゼロになる割引率を求める
    • IRR > 必要収益率:投資採択
    • 複数案件比較時の注意:規模が異なる場合、NPVとIRRの順位が逆転する可能性がある(ランキング矛盾)
  • 回収期間法(Payback Period)
    • 初期投資額を回収するまでの期間を計算
    • 回収期間が短いほど有利(流動性重視)
    • 欠点:回収期間以後のキャッシュフローを無視
  • 利益指数法(PI: Profitability Index)
    • PI = 現在価値 ÷ 初期投資額
    • PI > 1:投資採択
    • 資本制約がある場合に有用(限られた予算で複数案を組み合わせる場合)

現在価値計算の基礎

  • 現在価値 = 将来キャッシュフロー ÷ (1 + 割引率)n
  • 割引率(必要収益率)は企業の資本コストが基準
  • 計算時には減価償却費と税金の影響を考慮
  • 税引後キャッシュフロー = (営業利益 + 減価償却費)×(1 − 法人税率)

投資判断の実務的ポイント

  • 単一案件選択時:NPV最大の案を採択(通常)
  • 相互排他的案件(AまたはB):NPV法を優先
  • 資本制約がある場合:利益指数法で複数案の組み合わせを検討
  • リスク考慮:割引率を上げる、シナリオ分析を実施
  • 感応度分析(キャッシュフロー、割引率の変動に対する投資判断の感度を測定)

頻出ポイント

  • NPV法とIRR法の順位逆転:規模・投資期間が異なる案件では判定が矛盾することがある → NPV法を優先
  • 割引率の役割:企業の必要収益率(資本コスト)を適切に設定することが重要
  • 回収期間法の限界:流動性重視だがキャッシュフロー全体を評価できない
  • 税引後キャッシュフローの計算:減価償却費の税効果を正確に反映
  • 利益指数法の活用場面:資本制約下での複数投資案の組み合わせ問題で差別化される
関連過去問(12問)
令和3年度 第18問 当社はある機械の導入の可否を検討している。この機械の導入により、年間の税 引前キャッシュフローが2,000万円増加する。...
令和3年度 第19問 当社は設備A〜Cの導入を比較検討している。各設備の初期投資額ならびに将来 の現金収支の現在価値合計は、以下のとおりである...
令和4年度 第14問 B社は以下のような条件で、取引先に貸し付けを行った。割引率を4%としたと き、貸付日における現在価値として、最も適切なも...
令和4年度 第21問 投資の評価基準に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から 選べ。 a 回収期間が短いほど、内部収益率は高...
令和4年度 第22問 リスクがある場合の割引現在価値の計算に関する記述として、最も適切なものは どれか。
令和5年度 第17問 以下の、リスクの異なるH事業部とL事業部を持つ多角化企業に関する資料に基 づいて、H事業部に属する投資案(H案)とL事業...
令和6年度 第17問 B社は、800百万円の初期投資を伴う投資案の実施を検討している。この事業を 実施すれば、当期以降永続的に100百万円のキ...
令和6年度 第18問 投資プロジェクトの経済性評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第14問 Xリース社は、第14期首に500万円の機械を購入し、同日、得意先に 5 年間 リースを行う予定である。この機械の耐用年数...
令和7年度 第17問 Y社は、ある投資案の採否について検討している。同社では、投資案の採否を正 味現在価値法に基づいて判断している。なお、税金...
令和7年度 第18問 現在、Z社は新製品の投資案を検討している。初期投資額は150,000千円であ る。減価償却は、耐用年数5年、残存価額を取...
令和7年度 第19問 投資評価基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。
B8. 企業価値 9問

企業価値の基本概念

企業価値とは、企業が生み出す将来のキャッシュフローの現在価値の合計であり、株主価値と債権者価値の合計として定義されます。経営戦略の最終的な目標は企業価値の最大化にあり、これが持続的な競争優位性につながります。

企業価値評価の主要手法

  • DCF法(割引キャッシュフロー法):将来のフリーキャッシュフローを加重平均資本コスト(WACC)で割引いて現在価値を算出。理論的に最も厳密な手法
  • マルチプル法:PER、PBR、EV/EBITDAなどの倍数を用いて同業他社と比較評価。簡便だが市場環境の影響を受けやすい
  • ネットアセット法:資産から負債を差し引いた純資産を企業価値とする。清算価値に近い評価

フリーキャッシュフロー(FCF)の考え方

FCFは、企業が営業活動から生み出した現金から、必要な設備投資や運転資本増加分を控除した、債権者と株主に配分可能な自由なキャッシュです。利益ではなくキャッシュベースで評価することが企業価値分析の核となります。

計算式:FCF = 営業キャッシュフロー − 資本支出(CapEx)

WACC(加重平均資本コスト)の重要性

  • 企業の調達源泉である負債と株式資本の両方のコストを、その比重に応じて加重平均したもの
  • 割引率としてDCF法で使用。WACCが低いほど企業価値は高くなる
  • 負債比率の最適化により、WACCを最小化することが重要

経営戦略と企業価値の関連性

事業ポートフォリオ管理、コスト削減、新規事業投資など、すべての戦略的意思決定は企業価値への影響を基準に評価される必要があります。ROICが加重平均資本コストを上回る事業への資源配分が優先されます。

頻出ポイント

  • DCF法の構造:フリーキャッシュフロー予測 → WACC決定 → 現在価値計算の3ステップの理解
  • フリーキャッシュフロー:利益とキャッシュの違い、設備投資と運転資本の影響を問う出題多数
  • 企業価値と株主価値の違い:企業価値から負債を差し引いたものが株主価値であることの確認問題
  • マルチプル法の活用場面:M&A評価やベンチマーク分析での同業比較での選択肢問題
  • 経営戦略との統合:戦略実行による営業利益改善 → FCF向上 → 企業価値向上の因果関係の把握
関連過去問(9問)
令和3年度 第22問 設問1 企業価値評価に関する以下の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフ...
令和3年度 第22問 設問2 企業価値評価に関する以下の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフ...
令和4年度 第18問 企業価値評価における割引超過利益モデルに関する記述として、最も不適切なも のはどれか。
令和4年度 第19問 非上場会社の株式評価の方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第15問 設問2 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 現在、Y社は総資本10億円(時価ベース)の全額を自己資本で調達して事業活動 を行...
令和5年度 第20問 以下のデータに基づいて、A社の株主価値を割引キャッシュフローモデルに従っ て計算したとき、最も適切なものを下記の解答群か...
令和6年度 第16問 次の文章の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。 株式分割によって1株当たり株...
令和6年度 第23問 次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。 乗数法(マルチプル法)は、主...
令和7年度 第22問 当期のB社とC社のEBITDA、有利子負債、現金・預金、当期純利益、減価償却 費はそれぞれ等しいとする。B社の企業価値E...
B9. 資金調達・資本構成 8問

資金調達・資本構成の要点まとめ

資金調達は企業の成長に不可欠であり、その方法と最適な資本構成の理解が合格のカギとなります。

1. 資金調達の種類と特徴

内部資金調達

  • 利益留保:最も低コストで、返済義務がない
  • 遊休資産売却:既存資産の活用
  • 運転資本の効率化:現金化サイクルの短縮

外部資金調達

  • 株式発行:返済義務なし、希薄化リスク、資本コストが高い
  • 社債発行:金利固定、信用格付けが必要
  • 銀行借入:手続き迅速、返済義務あり、金利負担
  • リース・レンタル:設備調達の柔軟な手段
  • ベンチャーキャピタル:成長企業向け、経営関与あり
  • クラウドファンディング:新興企業向け、事前検証可能

2. 資本構成と最適資本構成

資本構成(キャピタルストラクチャー)とは、自己資本と他人資本の組成比率を指します。

  • 負債比率 = 負債/資産
  • 自己資本比率 = 自己資本/資産
  • 負債自己資本比率(D/E比率) = 負債/自己資本

最適資本構成の達成要件

  • 加重平均資本コスト(WACC)が最小となる点
  • 企業価値が最大となる構成
  • 財務的リスクと事業リスクのバランス
  • 業種・成長段階によって異なる

3. 資本コストの理解

加重平均資本コスト(WACC)

  • WACC = Re × E/(D+E) + Rd × (1-Tc) × D/(D+E)
  • Re:自己資本コスト、Rd:負債コスト、Tc:法人税率
  • 負債が増加するとWACC低下(税盾効果)も、リスク増加で自己資本コスト上昇

4. 中小企業特有の資金調達課題

  • 銀行借入への過度な依存(負債比率が高い傾向)
  • 信用力不足による調達困難
  • 信用保証協会の活用:中小企業向けの保証制度
  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫)の活用
  • 経営改善計画による信用回復

5. 財務レバレッジと経営指標

  • ROE = ROA + (ROA - 金利負担率) × 負債自己資本比率
  • 適切な負債活用でROEを向上させる可能性
  • 過度な負債はリスク増加、倒産リスク上昇

頻出ポイント

  • 資本構成の最適化:WACC最小化と企業価値最大化の関係
  • 資金調達方法の選択基準:資金用途、返済能力、資本コスト
  • 中小企業の資金調達制約:信用保証や政府系金融機関の役割
  • 負債と自己資本のバランス:業種・成長段階別の適切な比率
  • 財務リスク管理:過度なレバレッジによる経営危機の回避
関連過去問(8問)
令和3年度 第14問 資金調達の形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和3年度 第15問 以下の資料に基づき計算した加重平(cid:13432)資本コストとして、最も適切なものを下記 の解答群から選べ。なお、負...
令和3年度 第17問 モジリアーニとミラーの理論(MM理論)に基づく資本構成に関する記述として、 最も適切なものはどれか。
令和5年度 第15問 設問1 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 現在、Y社は総資本10億円(時価ベース)の全額を自己資本で調達して事業活動 を行...
令和6年度 第13問 資金調達に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第14問 A社の負債コストは 2 %、時価基準の負債比率(負債÷自己資本)は0.25、 WACC(加重平均資本コスト)は6.28%...
令和7年度 第15問 資本コストのリスクプレミアムに関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第16問 以下のデータに基づき、毎期一定額の配当を行っている当社の加重平均資本コス トを計算したとき、最も適切なものを下記の解答群...
B10. 証券投資・ポートフォリオ 17問

証券投資・ポートフォリオの要点まとめ

証券投資・ポートフォリオは、企業の資金運用戦略と投資家保護に関わる重要テーマです。毎年継続して出題されており、基礎概念と実務的な計算問題が中心となります。

1. ポートフォリオの基礎概念

ポートフォリオとは、複数の証券・資産を組み合わせた投資資産の集合体です。リスク低減が主目的となります。

  • 分散投資:複数の証券に投資してリスクを軽減する戦略
  • 相関係数:異なる証券の値動きの関連性(-1~+1の範囲)
  • 相関係数が低い・負の証券を組み合わせるほどリスク低減効果が高い
  • ポートフォリオリスク:単純合算より小さくなる(分散効果)

2. リスクとリターンの関係

  • 期待収益率:各シナリオの収益率を確率加重平均したもの
  • 標準偏差:リスクの大きさを示す指標(変動の度合い)
  • 分散:標準偏差の二乗
  • 変動係数(CV):標準偏差÷期待収益率(単位当たりのリスク評価)
  • リスク・リターンは通常、正の相関関係にある

3. 資本資産評価モデル(CAPM)

CAPMは証券の適正収益率を算出するモデルで、試験頻出です。

  • 計算式:期待収益率=無リスク利子率+β(市場リスクプレミアム)
  • β(ベータ):証券のシステマティックリスク(市場全体の変動に対する感応度)
  • β>1:市場平均より変動が大きい(ハイリスク・ハイリターン)
  • β=1:市場平均と同じ変動
  • β<1:市場平均より変動が小さい(ローリスク)
  • 市場リスクプレミアム:市場収益率-無リスク利子率

4. リスクの分類

  • システマティックリスク(市場リスク):分散投資で回避不可。市場全体に影響
  • アンシステマティックリスク(個別リスク):分散投資で回避可能。個別企業特有の要因
  • ポートフォリオリスク=システマティックリスク+アンシステマティックリスク(分散で軽減)

5. 効率的ポートフォリオと資本市場線

  • 効率的ポートフォリオ:同じリスクで最大リターン、または同じリターンで最小リスク
  • 効率的フロンティア:効率的ポートフォリオの軌跡
  • 資本市場線(CML):無リスク資産と市場ポートフォリオを結ぶ直線
  • CML上の点が最適ポートフォリオとなる

6. 企業の証券投資判断

  • 株価純資産倍率(PBR):株価÷1株当たり純資産。1倍以下で割安
  • 株価収益率(PER):株価÷1株当たり利益。低いほど割安傾向
  • 配当利回り:年配当金÷株価。資金運用として重要指標
  • 企業の経営安定性と成長性をバランスよく評価する

頻出ポイント

  • CAPM計算式の理解と応用:毎年出題の確率が高い。β値の意味も押さえること
  • 相関係数とリスク低減効果:分散投資の効果を定量的に説明できる必要がある
  • ポートフォリオリスク=システマティック+アンシステマティック:リスク分類の理解が必須
  • 標準偏差と変動係数の使い分け:複数証券の比較時には変動係数を用いる
  • 効率的フロンティアと資本市場線の違い:グラフでの位置付けを正確に理解すること
関連過去問(17問)
令和3年度 第20問 証券投資論に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家はリ スク回避的であり、安全資産への投資が可能である...
令和3年度 第21問 D社の次期(第2期)末の予想配当は1株44円である。その後、次々期(第3期) 末まで1年間の配当成長率は10%、それ以降...
令和3年度 第23問 オプションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第15問 C社では、以下の証券Yと証券Zに等額ずつ分散投資するポートフォリオで運用 することを検討している。証券Yと証券Zの収益率...
令和4年度 第16問 以下の図は、すべてのリスク資産と安全資産により実行可能な投資機会を表して いる。投資家のポートフォリオ選択に関する記述と...
令和4年度 第20問 先物取引および先渡取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和5年度 第18問 ポートフォリオ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、リ スク資産の間の相関係数は1未満であり、投資比率...
令和5年度 第19問 効率的市場仮説(セミストロング型)に関する記述として、最も適切なものはどれ か。
令和5年度 第22問 市場リスクに関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選 べ。 a 外貨建取引の場合に、為替レートの変動で...
令和5年度 第23問 次の文章の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。ただし、手数料、金利などは考え...
令和6年度 第19問 以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率の標準偏差をとっ た平面上に、効率的フロンティア、資本市場線、あ...
令和6年度 第20問 以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率の標準偏差をとっ た平面上に、資産Aから資産Dのそれぞれのリスク...
令和6年度 第24問 次の通貨オプションに関する文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、 最も適切なものを下記の解答群から選べ。 現時点...
令和7年度 第20問 設問1 以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率のリスクをとった 平面上に、ポートフォリオ理論の下での、危険資産...
令和7年度 第20問 設問2 以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率のリスクをとった 平面上に、ポートフォリオ理論の下での、危険資産...
令和7年度 第23問 先渡取引(フォワード)と先物取引(フューチャー)に関する記述として、最も適切 なものはどれか。
令和7年度 第24問 スワップに関する記述として、最も適切なものはどれか。
B11. 税務・会計基準 13問

中小企業診断士試験「B科目」税務・会計基準 要点まとめ

1. 企業会計原則と会計基準の体系

企業会計原則は、わが国の会計制度の基本となる原則であり、一般原則と具体的基準から構成されています。

  • 一般原則:真実性の原則、正規性の原則、明瞭性の原則、保守主義の原則、継続性の原則、明確区分の原則
  • 具体的基準:収益認識、費用配分、棚卸資産評価、固定資産評価などを規定
  • IFRS(国際財務報告基準)への対応が進む中、わが国は段階的な任意適用を推進

2. 財務諸表の構成要素と制度

中小企業に関連する主要な財務報告制度:

  • 中小企業の会計に関する基本要領:中小企業向けの簡便な会計処理を認める指針
  • 貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書が基本構成
  • 中小企業向けは「簡易版」の採用も可能(キャッシュフロー計算書は省略可)
  • 連結財務諸表作成基準:親会社基準法が採用される

3. 税務会計と財務会計の相違点

同一事象でも、会計処理と税務処理が異なる場合があり、これが一時差異永久差異を生じさせます。

  • 減価償却方法の相違(定額法 vs. 定率法など)
  • 貸倒引当金:税務上は繰入限度額の制限あり
  • 交際費:税務上の損金不算入額の存在
  • 棚卸資産の評価方法(先入先出法、移動平均法、最終仕入原価法など)
  • 繰延税金資産・負債:一時差異に対する税効果会計の適用

4. 中小企業特有の会計処理

  • 小規模企業(年売上5,000万円以下):簡易な記帳方法(現金出納帳等)の採用が認められる場合がある
  • 固定資産の減価償却:一括償却資産(取得価額20万円以上200万円未満)として3年償却が可能
  • 少額減価償却資産(取得価額10万円未満):即時償却が可能
  • 青色申告特別控除:正規の簿記により記帳した場合、65万円(または10万円)の特別控除
  • 棚卸資産の評価損計上の実務的運用

5. 税効果会計の概要

税効果会計は、会計利益と税務上の利益の差異に対して税金の影響を調整する処理です。

  • 繰延税金資産:将来の税負担を減らす要因(例:未払い費用、貸倒引当金)
  • 繰延税金負債:将来の税負担を増やす要因(例:未収収益、評価益)
  • 法人税率:基本30%(国税19%+地方税11%程度、現在は引き下げの動向あり)
  • 回収可能性の判断が重要(繰延税金資産の計上基準)

6. 監査・開示制度との関連

  • 有限責任監査法人等による監査対象企業:上場企業、金融機関、大規模法人
  • 中小企業は監査対象外が多いが、融資や取引先からの信用維持のため自発的に実施する場合も増加
  • 決算書の信頼性向上により、企業評価や融資審査に好影響

頻出ポイント

  • 企業会計原則の一般原則6項目と具体的基準の基本構成
  • 中小企業の会計に関する基本要領における簡便な処理の内容と限定条件
  • 税務会計との相違(減価償却、引当金、交際費)と一時差異・永久差異の概念
  • 繰延税金資産・負債の計上基準と税効果会計の仕組み
  • 小規模企業と少額資産に対する特例処理(3年償却、即時償却など)
関連過去問(13問)
令和4年度 第3問 収益認識のタイミングとして、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第4問 外貨建取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和4年度 第7問 当社は資本金1億円以下の中小法人に該当する。当期400万円の繰越欠損金を計 上した。そのときの仕訳として、最も適切なもの...
令和5年度 第6問 当期の税引前当期純利益は800,000円であった。ただし、受取配当金の益金不算 入額が24,000円、交際費の損金不算入...
令和6年度 第1問 以下の資料に基づき、当社が収益認識の基準として検収基準を用いている場合、 当期の貸倒引当金繰入額として、最も適切なものを...
令和6年度 第3問 「金融商品に関する会計基準」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第4問 「会社法」および「会社計算規則」における資本金の額等についての規定に関する記 述として、最も適切なものはどれか。
令和6年度 第8問 「中小企業の会計に関する指針」に関する記述として、最も不適切なものはどれ か。
令和6年度 第9問 法人税に関する記述として、最も適切なものはどれか。
令和7年度 第2問 会社法における計算書類および会計帳簿に関する記述として、最も適切なものは どれか。
令和7年度 第3問 以下の資料に基づき、法人税が課される所得金額と消費税および地方消費税(以 下、消費税とする。)の納付税額として、最も適切...
令和7年度 第4問 「中小企業の会計に関する指針」における棚卸資産に関する記述として、最も適切 なものはどれか。
令和7年度 第9問 税効果会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、法人税等の実 効税率を30%として計算していることを前提とす...